授けられた力・消えた記憶

銃声と共に、目を瞑るカリン…

(死ぬ…)


その銃は、確実にカリンへと放たれたはずだった…


しかし、痛みも何も感じない…

感じたのは、何かに触れたような感じだけ…


死というものは、痛みを伴わないのか…


そう思いながら、カリンは強く瞑った瞼を開く…


そこで見た物は…


 「…ル…イ……?」

ルイの苦痛に耐える顔…


ルイは、カリンを庇い、銃の弾を自らの体に受けたのだ…


体制を崩すルイ…それをカリンは支える…しかし、手に、何かが触れた…


 「…」

恐る恐る何かに触れた手を見る…

そこには、赤く染まった自分の手…

そして、胸の辺りを赤く染めるルイの姿…



支えきれなくなり、ルイの体は、地面へと崩れ落ちた…


何が起こったのかわからないカリン…

 「…ルイ…?」

 「…」

 「…ルイ……?」

反応のないルイの名前を呼び続けた…


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