ちゆまど―世界は全て君のために―
ラグナロク様がテーブルにあったベルを鳴らせば、どこからともなくマトリさん……ヨーシカさんと瓜二つな顔の彼がカップとポットを持っていた。
「おはようございます、お嬢様」
「あ、おはようございます」
カップに注がれた紅茶。
「本日はカモミールでこざいます」
はい、と一口飲む。柔らかく爽やかな味だ、よく潤う。
「シブリール様はいかがなさいますか」
「いらん。俺はユリウスが作ったものしか食べない」
「ほう、その体となって腹が減るという概念はなくなったのかえ?」
「まあな、だがユリウスの世界一美味しい料理なら食べたい欲求にかられる。――でも、一番食べたいのはユリウスだけどねっ」
「アリスを見習ってください」