ちゆまど―世界は全て君のために―
酔いしれる顔、と、イナディアルの回りに黒い弾丸が現れた。
振れば飛ぶ。
「っ……!」
防ぐことはできずにかわすだけだった。
「動けるのかい、凄いねえ。さすがは“世界殺しの魔導師”。やせ我慢は得意らしい」
「黙っていろ!」
いや、黙らせてやるとシブリールが向かう。
降り注ぐ弾丸を避けては、弾き、イナディアルと距離を縮めた。
「あらら、もう追い付いたか」
困ったような口振りながらも、顔は余裕げで、シブリールの断頭台をかわすイナディアル。
イナディアルもまた、シブリールほどではないが接近戦に優れている。
タクトで演奏を続けながら、足でシブリールを蹴りあげる。
一蹴、二蹴。
三度目の蹴りあげで断頭台ごとシブリールをはね飛ばす。