ちゆまど―世界は全て君のために―
「誉め言葉にもなりませんわ。少し気付いたのです。ラーニャとあいつどちらが先にしかけたのかと。ラーニャがもし先に戦いを申し出たならば……いいえ、どちらにせよ、弱者の戯れ言。“弱かったから”、この一言につきますわ」
「シンシアさん……」
シンシアさんがこちらを向く。
「だから、私。強くなってから、あいつを殺しますわ。復讐です。人類の味方でない、理解者ではないラグナ様は手を出さぬとも、私は“人間”ですわ。
全人類の代表として、あいつを裁きます。止めないでくださいね」
「……止めれませんよ。兄がやったことは、それほどのことなんですから」
「意外ですわ。あなたみたいなタイプだと復讐なんてと言いそうですのに」
「私はそこまで出来た人間ではありません。その人の憎しみと辛さも分かっているつもりですから」