ちゆまど―世界は全て君のために―
「勘違いするなよ、シンシア。余は、“全人類の味方”ではなく、“世界の守護者”だ。昔の罪がどうであろうと、世界は今現在崩れたかえ?崩れてないだろう?
排除すると言ったのは、いずれは世界を崩すものだからこそ。その“いずれ”がなくなったのだ、余が動く権利もない。ラーニャに関しては、余も心痛めるが。魔導師の運命だぞなぁ。魔導師は極端だ、寿命が短いもの、長いものに分けられる。前者、魔術の弱き者。後者、魔術の強き者だ」
「っ、でしたら、私の召喚物が負けたのは……」
「余の口から言わせるのかえ?」
シンシアさんが言葉を呑んだようだった。
拳を握るも、ゆっくりと開く。
どうやら、落ち着いたようだ。
「それでこそ、シンシアぞ。利口な娘だ」