ちゆまど―世界は全て君のために―
(二)
バラの庭園は昨日と同じく美しかった。
枯れた花など一つもない。
どこからか吹く風に揺れ、月明かりのもと深紅で私たちの目を潤す。
「ユーリお姉ちゃん!」
ついで、私に飛び付く小さな女の子にも目が潤った。
白い髪に、ウサギの人形を持ち。ピンクロリータでプリティーな姿の子は宝だ。
「おはよう、アリス」
「おはよう!いっぱい眠れた?」
「うん、眠れたよ」
「アリスの夢、見てくれた?」
「えっと、特に夢は見てないかな」
「そっか……」
しゅんとするアリスにはやっぱり見たと言ってしまう。
「やったー、アリスもねお姉ちゃんの夢見たの、だからお揃いだ」
「そっかー、お揃いだねー」
アリスの頭をなでなでする手が止まらない。