黒騎士-ブラックナイト-

次第にヴァペスリア民という名前は消え、“異人”という名が染み付いた。

そして、人々は数少なくなった彼等を恐れ、見放した。



「―……なんて残酷な…。」

「この書物は、今から80年前に書かれたもの。血が絶え始めたのは100年前……。」

リィナは何かに気づいた。

「100年前……!」

リィナは急に立ち、本棚の前に立った。

「どうした?」

「100年前……!まさか……!」

フィルの問いかけを無視し、リィナは懸命に本を探した。

リィナが探している本があるのは、ルーゼンの歴史のようだ。

背表紙を一冊も見落とすことなく、くまなく探した。

「あったわ!!」

分厚い本を彼女は持ってきた。

「ルーゼンの歴史か?」

「そうよ。100年前に何かあったの!」

ページをめくるほど、歴史は新しくなっていく。

そして、100年前の資料が出てきた。

「ルーゼン・ウルク王国は、魔術が……」



ルーゼン・ウルク王国は、魔術が栄え、世界的に魔法が有名な国。

しかし、ずっと栄えてきたわけではない。

< 174 / 304 >

この作品をシェア

pagetop