zinma Ⅰ



森の中を歩く。



カリアとファギヌは時々こちらを振り向いて、僕が着いて来るのを確認しながら、歩いてくれた。



いつも遊びに行っていたのとは違う森だからか、少し雰囲気が違って見える。


もちろん、『選ばれしヒト』になったから、前とは違う景色が僕には見えるけど。


雰囲気が、ちがう。




変なの。

と思いながら、前に進む。




そこで突然、カリアが立ち止まり、こちらを向く。

それに僕も足を止める。



「もう少しで、この森の雰囲気がさらに変わる。この森の魔力が落ちるからな。

今のお前ならわかるだろう。」


そう言われて、僕は納得する。


この森の雰囲気は、魔力の違いなのか。

それに僕は、少しだけ、目に意識を集中する。



すると周りの景色がさらに鮮明に見え始める。


とたんに、周りに、金色の霧のような、もやもやが現れる。



これは3日前に森を歩いてるとき発見した力だ。



このもやもやが、魔力。


魔力はどうやら、世界中を埋め尽くしているようだ。






カリアがまた言う。


「そこを抜ければ、おそらく、お前がここに戻って来られる可能性は、ほとんど無くなる。」


それに僕はうなずく。

それはもう、わかっている。


「……だからもう一度、お前に聞く。

ほんとうに、行くか?」


それにも僕は、迷わずうなずく。


それにカリアがさらに聞く。

「なぜ?

この先には絶望しか待っていないのに。」



それに僕は、考える。


なぜ?
なぜだろう。

たしかに僕が『選ばれしヒト』だと言われたときは、ひどい絶望だったけど。



なぜか。





そこで僕は、ああ、と思い出す。


『選ばれしヒト』の意識に侵され、使命感によって消されようとしていた人間だったころに気持ちに、僕はたどり着く。





あの気持ちは………






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