【完】風に恋をする。
両手で顔を覆い、泣き始める風花を、俺は優しく抱きしめた。
「ご飯なんていらない! 面倒を見られなくてもいいから…っ!
一人にしないで欲しかった…ッ!!」
こんな小さな部屋で一人の夜よりも、
広くて愛がない空間でも他に人がいる夜の方が…風花は良かったんだ。
幼い時に、家族を失って…。
だから、”家族”がどんなものか知らない。
そんな風花に”家族”を教えるのは…
直人さんの役目のはずなのに。
自分の娘じゃないからって、突き放して、ほっといて。
今更…言い訳をしにきた。