【完】風に恋をする。





「ね、ねぇ…啓くん…」

「ほっとけ、あんな奴」

「でも…」

「…わかった」


俺はギュッと抱きしめて、そっと離れた。

渋々、病室のドアを開けて啓を呼ぶ。


「待ちくたびれたんだけど」

「早く入れ」


本当は…こいつと風花を会わせるのはあんまり気が進まない。

だって、コイツ…。


俺は、風花と啓が初めて会ったときの事を思い出す。

風花の頬に、啓の唇が触れたこと。



「よっ、久しぶり」

「久しぶり! ごめんね、急に…」

「いやいや、風花ちゃんの頼みなら喜んで」


わざわざ”風花ちゃんの頼みなら”を強調する。

ムカつく…。



こいつ、絶対喧嘩売ってるよな。


俺がコイツを呼んだ時だって…







< 216 / 260 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop