私はダメ人間じゃない~ネットカフェ難民の叫び~
(ライン作業じゃないんだ)

どこの工程を見ても、ベルトコンベアによる作業はなかった。

これはかなりプレッシャーから解放される。

そのぶん、覚えなければならない作業はかなり多いが、あのライン作業独特の緊迫した雰囲気はまったくない。


設備も工場内もクリーンだし、女性社員も多い。


次の日から作業に入った私は、この工場でならやっていけそうな気がして、一筋の光明を見たおもいがした。


しかし働く環境は良くても、雇う側の会社が悪ければ、手放しで喜ぶわけにはいかない。

寮から工場までは、送迎バスで40分ほどかかる。

行きは寝ぼけ顔で、帰りは疲れた顔。

多くの労働者は一言も喋ることなく、粛々とバスに揺られている。


その日の帰り、バスは出発時間になっても発車しようとしなかった。

運転手は50歳近いだろう、中年男性だったが、携帯で誰かと話をしているようだ。

車内は静かに苛立っていた。

12時間労働だが、実質13時間は拘束されるという生活環境。

往復の通勤時間に1時間半もかかるのであれば、自由になる時間は9時間ほどだ。


長い労働時間は、長い睡眠を必要とする。
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