私はダメ人間じゃない~ネットカフェ難民の叫び~
その名前を聞いて、また渡辺が話に入ってきた。

「岬くんが行くならあたしも行く!」

「なんでお前が来んねん……」

中川は眉をしかめた。

「いいじゃん、岬くんも喜ぶと思うけど」

「……でやねん」

「中川さんには分からない、あたしと岬くんの関係があるの」

正直、こいつが来るんだったら、私は絶対行かないつもりだ。

「あるか、そんなもん。お前の妄想や」

中川はそう言って、キッパリとはねつけた。これだけでも、この男に好感が持てるようになった。

敵の敵は味方、とはよく言ったものだ。



その日の帰り、下駄箱に私の靴はなかった。

(なんで)

誰かが間違えたのならば、上履きが入っているはずだ。

しかし、上履きもないということは、故意に隠したとしか思えない。

(誰がこんなこと……)

学校のイタズラじゃあるまいし、まさかこんな年になって靴を隠されるとは思ってもみなかった。

他の靴箱を探してもみたが、どこにもない。


「お、どうしてん?」

失意で下駄箱の前に立ち尽くす私に、声をかけてきたのは中川だった。

振り向くと、その後ろにひとり従えている。

「こっちがさっき話してた岬や」
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