私はダメ人間じゃない~ネットカフェ難民の叫び~
確かに若作りをしてはいるが、よく見れば肌の老化を隠せていない。

「パッと見は若いですよ。オバハンは言い過ぎじゃないですか?」

いちおうかばうふりをして、私は皮肉を言った。

「かまへんかまへん、俺と同じ年やからな。俺がオッサンやからアイツもオバハンや」

「ちょっと、中川さん。ひどくなーい?」

渡辺が口をとがらせた。

二人とも長い付き合いなのだろう。反論のなかにも狎れのようなものがある。

「やかましいわ。オバハンはオバハンや」

狎れのようにみせても、本音でも嫌っているような気がする。

私はそんなやり取りを見て、少し楽しかったのは事実だ。


「んで、どうや。今晩あたり酒でも飲みにいかへんか?」

中川は大胆にも、これだけの衆目の集まるなかで、デートに誘ってきた。

「え、今晩ですか?」

「おう、明日は休みやから問題ないやろ」

「あ……そうですけど」

正直言えば断りたいところだ。しかし、こんなところで恥をかかせるのも可哀相な気がしないでもない。


「他に誰か行くなら……」


さすがに二人きりでは気が引ける。思わずそう返事をしていた。

「ああ、構わんで。ほんなら岬いうやつ連れていくし」
< 84 / 203 >

この作品をシェア

pagetop