+Black Blood.

(本当は髪なんてどうでも良いが・・・・、やっぱり律も被害者の一人だったんだな・・・・・・。それより、零はあの事を忘れはしないってどう言う事なんだろうか・・・)



人が居ないロビーで考えながら、思い耽っていたせいで足を棚にぶつけた。


「・・・・・・・痛ぇ」


そうして、歩いた所。


「あ、もう片付いてる」


今日猫を追っかけまわして大惨事になったロビー。


「流石美容関連」


と、関係無い事を口にしつつ、零が居る部屋に入った。



カチャ・・・・・・・


(寝てっかな・・・)


部屋は、真っ暗だ。

家具が全て黒系の色で統一されているせいもあるのだが、灯りがついていないのもあり、更に部屋が暗い雰囲気になっている。


ベッドの淵に腰をゆっくり掛け、部屋を物色する無花果。


―――ソファは合皮素材で出来ていて、座った時に滑らかで心地良かった。ベッドはシルク製で、こちらもずっと触っていたい感覚になる。棚はインテリア家具しか入っておらず、それぞれが夫々、バランスの良い配置に置かれていて、何とも言えない居心地良い部屋だ。




「ん、」

「・・・・あ、悪ぃ起こしちまった・・・・・


ちょ、オイ、」



ベッドで寝ていたはずの零がいきなり起き上がり、腰を掛けていた無花果を一緒にベッドに沈ませる。


「・・・・・零、熱・・・・・、大分引いたな」


「・・・・・・・・・・・・ん。」


未だ眠いのか、瞳は閉じたまま、無花果を抱き竦める。



「無花果、どしたのその髪。」

「律にやってもらった。」



零の指が無花果の緩く巻いた髪に絡む。



< 148 / 359 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop