+Black Blood.
(本当は髪なんてどうでも良いが・・・・、やっぱり律も被害者の一人だったんだな・・・・・・。それより、零はあの事を忘れはしないってどう言う事なんだろうか・・・)
人が居ないロビーで考えながら、思い耽っていたせいで足を棚にぶつけた。
「・・・・・・・痛ぇ」
そうして、歩いた所。
「あ、もう片付いてる」
今日猫を追っかけまわして大惨事になったロビー。
「流石美容関連」
と、関係無い事を口にしつつ、零が居る部屋に入った。
カチャ・・・・・・・
(寝てっかな・・・)
部屋は、真っ暗だ。
家具が全て黒系の色で統一されているせいもあるのだが、灯りがついていないのもあり、更に部屋が暗い雰囲気になっている。
ベッドの淵に腰をゆっくり掛け、部屋を物色する無花果。
―――ソファは合皮素材で出来ていて、座った時に滑らかで心地良かった。ベッドはシルク製で、こちらもずっと触っていたい感覚になる。棚はインテリア家具しか入っておらず、それぞれが夫々、バランスの良い配置に置かれていて、何とも言えない居心地良い部屋だ。
「ん、」
「・・・・あ、悪ぃ起こしちまった・・・・・
ちょ、オイ、」
ベッドで寝ていたはずの零がいきなり起き上がり、腰を掛けていた無花果を一緒にベッドに沈ませる。
「・・・・・零、熱・・・・・、大分引いたな」
「・・・・・・・・・・・・ん。」
未だ眠いのか、瞳は閉じたまま、無花果を抱き竦める。
「無花果、どしたのその髪。」
「律にやってもらった。」
零の指が無花果の緩く巻いた髪に絡む。