+Black Blood.


「意外と早かったわね、龍」


女の声。

空羽はまだ目が慣れない。



「連れて来ました。ご所望の空ちゃんスよ?」


段々目が慣れてきた。



「・・・・・・・・・・・、この、ひと?」



はっきりと輪郭が分かった所で空羽は息を呑む。


「そう。お前の。」



目が完全に慣れた頃には空羽の興味が薄れていた。



「・・・へぇ、私似の可愛い子じゃない」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



目の前に居る女。

髪が短く、白い肌で、はっきりした顔立ち。瞳も髪色も黒だ。



似てると言われたら、似てると思う。
空羽はそう思った。


「ねぇ、龍。何でお前に抱かれてんの?」

「イヤー何か立てないみたいでへぶっ・・・」


高いヒールで近付いてきた女は、笑顔のまま龍に平手を喰らわした。


「抱いたぁ?ざけんな、ハードすぎんだっつの」

「痛いスよ、手加減位して下さい」



・・・・まぁ、似てるかもしれない。


真横で行われている口喧嘩に空羽は、満更仲が良いじゃん、と思う。



「あぁ、紹介遅れた。私、菖蒲。あやめさんオアお母さんで良いわよ」


美麗な顔を薄っすら上げ、色気と共に愛が飛ばされたのが分かった。


「・・・・あ、やめ。」



いきなり視線が自分に向けられた事に拍子抜けしたのか、空羽は間抜けた声を出す。



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