+Black Blood.


龍から下り、力が上手く入らない脚で立つ。
が、やっぱり無理だったのか、龍の肩を借りた。



「・・・・・聞いてた話だと、零が居るって、」


“母”だと言われても、警戒を解かずに部屋全体をじろじろ見渡した。
高級感が溢れるソファに、上質な絨毯。空羽は律の会社に居た時の事を思い出す。


「・・・・あぁ、あの汚職屋?」


高級なソファに座り、脚を組んでそう吐き捨てる。


「汚職・・・・・・・」


零を謗った言い方で吐き捨てたのが気に入らなかったのか、菖蒲と呼ばれた女を睨んだ空羽。


「おー、恐い目するねぇアンタ。ま、あの仁叉ちゃんに育てられたんだから仕方ないか。その零って奴にぞっこんじゃない、可愛いわね」



ふふ、と余裕の笑みで笑う。
それも、空羽の機嫌を逆撫でした。


「零は、どこ。私は、あんたに会いに来たんじゃなくて、零の姿を確認しに来たの」

「冷たい事言うねぇ・・・。愛しの零君なら、生きてるよぉ?ちょっと、龍が派手にやっちゃったけど」


ぐるりと振り向き龍を見上げる。


「龍?!だって私を抱い・・・・・・・・・」

直後、口を塞がれた。
そして、黙ってろと言う様に尾骶骨を軽くど突く。


痛みで息を呑んだ空羽を確認すると、



「・・・・・・何でも無いスよー。」


引き攣った笑みを浮かべながら、手を離した。



「?そう。

んで、空羽?って言うの?今日、こないだから羽牙祢も此処に来てるから、良かったら会えば?」



煙草に火を点け、咥える。


「兄さんが?」


くい、と菖蒲の親指が左を指す。






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