ピンクの落書き
うちと拓海。
誰にも言えない秘密の関係…。
本当に本当に最低だって自分でわかっている。
颯を避け、拓海に逃げる。
今日もだるい数学の授業を抜け出し、屋上に駆ける。
拓海の席が空いていたから屋上にいるだろう。
ダメだって頭では理解できているのに…
すでに拓海依存症。
「あ。やっぱりいた」
いつもの場所。
屋上の入り口の裏。
そこには座ってケータイをいじっている拓海。
「おう。翼」
拓海の隣に座ると、不意に首にキスを落とされた。
わかっているよ。
浮気しているって…。
うちが彼氏に浮気をされて、今度はうちが浮気をして。
「あ。キスマークついちゃった」
「え~」
「ばれないようにな」
セフレという関係。
一応、親友でもある颯にはばれないようにうちの体を求める拓海。
手を掴んで、うちを動けなくさせる。
唇をこじ開け舌を絡ませる。
でも、今日はそんな気分ではなかった。
今日は女の子の日だったのだ。
「無理」
顔をそむける。
キスが今日だけは気持ち悪く感じる。
「今日は…やめとく。戻るね」