ピンクの落書き




でも、そんな話を颯としたくない。



「颯が悪いんでしょ…。」



颯には背を向けたまま答える。


颯の目にうちは弱い。


目なんか合わせたら…ダメになりそうで。



「俺が何をしたって言うんだ?」



「ふざけんな」



会話をしているだけで、頭に来る。


とぼけやがって。


颯が裏切ったのに。




「何言ってるんだよ?なぁ翼」


グイっと腕を引っ張られ、無理やり体を颯に向けられる。


「あ」


今、気付いた。



颯の後ろ、階段の上に拓海が立っていた。



うちの声で颯も後ろを向く。




「拓海。お前にも聞きたいことがある」



颯はうちの腕を離した。


うちに問いかけていた声とは違う颯の声。


颯キレてる…?



「なに?」


拓海が階段を降り、颯の前に立った。



「お前。コソコソ翼と何してる?」


まさかの質問に驚く。


が、拓海は顔色ひとつ変えず能天気なまま。



「内緒っ」


そう言って白い歯を見せる。


< 123 / 125 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop