ピンクの落書き
でも、そんな話を颯としたくない。
「颯が悪いんでしょ…。」
颯には背を向けたまま答える。
颯の目にうちは弱い。
目なんか合わせたら…ダメになりそうで。
「俺が何をしたって言うんだ?」
「ふざけんな」
会話をしているだけで、頭に来る。
とぼけやがって。
颯が裏切ったのに。
「何言ってるんだよ?なぁ翼」
グイっと腕を引っ張られ、無理やり体を颯に向けられる。
「あ」
今、気付いた。
颯の後ろ、階段の上に拓海が立っていた。
うちの声で颯も後ろを向く。
「拓海。お前にも聞きたいことがある」
颯はうちの腕を離した。
うちに問いかけていた声とは違う颯の声。
颯キレてる…?
「なに?」
拓海が階段を降り、颯の前に立った。
「お前。コソコソ翼と何してる?」
まさかの質問に驚く。
が、拓海は顔色ひとつ変えず能天気なまま。
「内緒っ」
そう言って白い歯を見せる。