ピンクの落書き



「翼の首にアザをつけたのもお前だろ?」



胸倉を掴んで吠える颯。



「翼に手ぇ出してんじゃねぇーよ!」


こんなにキレる颯を初めて見た。



「待って」


颯が拓海に殴りかかろうと拳を振りかぶった瞬間、うちが言った。



その言葉で颯の動きが止まった。




「うちが最初に手を出したの」


うちは、颯の目の前で拓海の唇にキスをした。



「うち。颯とは別れるから」



冷たく発するこの言葉。



“颯とは別れる”



一生言うことなんてないと思ってた。



本気で結婚するって信じてた。



「それで、拓海と付き合うから」



体から始まった関係でもいい。


この際なんでもよかった。



颯と別れる為なら。



うちを裏切った人と離れられるなら。






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