ピンクの落書き
「ちょっと、試合は?てか、どこ連れてくのっ!?」
掴んだまま、コートを出て体育館を出て…
「保健室だよ。その手どーすんだ?」
「別にこんなの平気だし!」
「はぁ~、何言ってんだよ。ドリブル失敗しまくってヘマしてたくせに」
試合…見てたの…?
そんな期待が込み上げた。
掴まれている場所だけが…くすぐったい。
「あれ、森ちんいないじゃん」
森ちんとは、保健の森先生。
保健室に入ってみると、静まり返っていた。
「あ、さっき1年の女子が倒れたらしく、そっちに行ってんじゃね?」
「そうなんだ」
「ほら、ここ座れ」
颯が指差したのは丸イス。
そこに腰をおろし、颯を観察。
どこからか、コールドスプレーを取り出してきた。
「冷たいぞ?いくぞ?」
うちの返事も待たずに颯は薬指に噴射した。
シューッと音とともに、白い煙に覆われた。
「ぁて~!!冷たっ!」
想像を遥かに超える、冷たい痛み。
左手で押さえ込んだ。
「だから、言ったじゃん」
颯は保健室にある冷蔵庫から、氷を取り出し、ビニール袋に入れて持ってきた。
「返事してないのにやったのは誰だよ!マジいったいわ~…」