ピンクの落書き



「ちょっと、試合は?てか、どこ連れてくのっ!?」



掴んだまま、コートを出て体育館を出て…




「保健室だよ。その手どーすんだ?」



「別にこんなの平気だし!」



「はぁ~、何言ってんだよ。ドリブル失敗しまくってヘマしてたくせに」



試合…見てたの…?


そんな期待が込み上げた。


掴まれている場所だけが…くすぐったい。




「あれ、森ちんいないじゃん」


森ちんとは、保健の森先生。



保健室に入ってみると、静まり返っていた。




「あ、さっき1年の女子が倒れたらしく、そっちに行ってんじゃね?」



「そうなんだ」



「ほら、ここ座れ」



颯が指差したのは丸イス。


そこに腰をおろし、颯を観察。



どこからか、コールドスプレーを取り出してきた。



「冷たいぞ?いくぞ?」



うちの返事も待たずに颯は薬指に噴射した。


シューッと音とともに、白い煙に覆われた。



「ぁて~!!冷たっ!」


想像を遥かに超える、冷たい痛み。



左手で押さえ込んだ。




「だから、言ったじゃん」



颯は保健室にある冷蔵庫から、氷を取り出し、ビニール袋に入れて持ってきた。




「返事してないのにやったのは誰だよ!マジいったいわ~…」


< 36 / 125 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop