鈴の音が響く頃
春の音
「・・・ねぇ。ほんとにへいきなの?」
杏が心配そうに私を見つめる
あの不思議な体験から、まだ3日しかたっていない
校外学習の代休も終わり、私と杏は学園に向かい、歩いていた
この3日間は、紅・紫さん・楓ちゃんの3人に現代のことを教えたり
ネットで鈴姫の情報を集めていたらあっという間に過ぎていった
「私は、留守番しててって言ったよ・・・でも、どうしてもって」
半ばあきれながら、手に持つ小さなトートバックを持ち上げる
もぞもぞと動きながら、 ソレ は
ひょっこりと顔を出した
「よう。杏!」
「おはよう。紅くん」
にっこにっこしながら、小さなマスコットサイズになった紅が
顔を出す
紅は、本当に外に出たがっていた・・・この3日間。
確かに、1000年前と今じゃ、見違えるほど変わっただろう
紅は好奇心旺盛だから、気になるのもわかるけど
存在が知れたら、ヤバイ
「ちょっと、あんまり騒がないでよね!バレたら、退学なんだから!」
「は?バレ??たいがく??」
きょとん として私を見つめる
「バレる。とは、他者に俺たちの存在が知られてしまうこと。退学、とは響古の通う
学業を学ぶ学園・・・とやらから、出て行かなくてはならないこと」
またもぞもぞとバックが動き、今度は紫さんが顔を出す
「紫さん、おはようございます。」
杏が小さく会釈する
「おはよう。杏ちゃん」
紫さんも、それに答える