鈴の音が響く頃
「ってか、なんでオレたちが小さくならなきゃいけないんだ?姿を見られるのは、杏と響古だけだろ?ならオレたちが普通の姿に戻っても、問題無くねぇか?」
「問題ある!!!他の人から姿が見えなくても、あなた達は誰かに触れたり、物を持つことも出来る。紅がはしゃいでモノを持ち上げたり遊んでる所を誰かに見られたら、幽霊沙汰だのなんだの・・・とにかく、学校が荒れるの!!」
早口でばーーーっと話してしまった。
「んな馬鹿なことするか!!!」
「する!!!あんたなら絶対にね!!」
「んだとぉ?!」
ちいさな紅が私に反抗してくる
普通サイズだったら、私も少しはたじろいだかも知れないけど・・
今は、なんとでも言い返せる
「落ち着きなよ。紅。俺たちが元の人間の姿になると、響古に無駄な霊力を使わせることになるんだよ」
「ぐう・・・」
紫さんが、諭すように話す
「それで倒れたりしたら、大変だろ?今はこのままでいいんじゃないかな?こうやって現代も見させてもらっていることだし」
ゆっくりと、周りの景色に目を向ける
・・・私からすれば、ごく当たり前な、普通の景色
道路があって、塀の向こう側にお家が建ってて
歩道の内側を小学生くらいの子が
楽しそうに走りながら友達と会話をしている
・・・それきり二人は黙って、町並みを見ていた
紅の、赤いツンツンした髪が
かばんの隙間から見える
せわしなく動いているあたりから、
黙ってはいるけど、相変わらず周りが気になって仕方が無いみたい
・・・この二人に、パソコンとか車とか電車とか見せたら
かなり驚くんだろうなぁ・・・
自然と、笑みがこぼれる