鈴の音が響く頃

学園に着き、自分の教室へと向かう

「響古、私、先生に呼ばれてるから、あとから教室にいくね」
「うん。わかったじゃあ、教室で」


杏と別れ、ひとり教室へ向かう


まだ朝早く、生徒の姿は見当たらない。

いつも、私と杏は早くに学校に行くのが好きで、
生徒がいないのは、いつものことなんだけど


「・・・なぁ。」
「ん?」
「気付いた?紅」

シン・・・とした空気が流れる

二人が、ピリピリしているのが、よく分かる


「な、なに?」

なにか、あるのだろうか
私は見えもしないし、感じないけど・・・


「おまえ、わかんないのか?・・・すんだよ」

「な、なにが?」

「気をつけて・・・響古」

「え?え?わかんない・・怖い・・・なんなの?!」


あたりを見回し、警戒する

もう、私達の存在がばれてしまったのか


「こいつは、すごいな・・・する・・・食べ物の匂いが・・」

「うん・・・これは、危険だ・・・」

「危険・・・・・・・・・・は?」


聞き間違い、だろうか


「だから、食べ物の匂いがするんだよ!!」

「鈴姫は、この匂いにつられて、山賊に捕まったことがあるんだ」



二人はバックを飛び出すと、私の肩に着地する


「これも罠だ。気をつけろよ!バカ響古!!」

「気をつけて、響古ちゃん」




・・・・・・・・・・・・・・・・・完全に、置いてけぼりだ



「あ、あのね、この匂いは、大丈夫だと思うよ・・・?」

「まーた鈴と同じこと言いやがって!!!そうやって鈴は罠に・・・!!!」


埒が明かない・・・


私は意を決し、二人をトートバックに勢いよく戻す
・・・ちょっと悲鳴が聞こえた気がしたけど、気にしていられない

そのまま走り、地下の部屋に向かう
階段を駆け下り、ようやくたどり着く

「おい、響古・・・!!!」

「平気!!!」


息を切らしながら勢いよく部屋の扉を開ける


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