恋がはじまるよ
 結衣が幼稚園の年長だった年の夏休み。

 祖父の家の涼しい縁側で、結衣と洸貴が真っ赤なスイカを食べていると、洸貴の姉の緑が、ぱたぱたと廊下を走ってきた。

「こーちゃん、ちょっと来て」

「でも、今、スイカ食べてるんだよ」

「スイカは後でいいの。早く来て!」

 仕方なく、洸貴は食べかけのスイカを皿に戻した。

「ゆいちゃんも、スイカ食べ終わったら来てね」

 緑は洸貴の手をとると、ずるずる引きずるようにして、奥の部屋へ連れていってしまった。

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