恋がはじまるよ
 どうして、洸貴は、そんな冷たいことを言うのだろう。

 結衣の思い出の中の、『大好きなやさしい洸貴』が、全部砕け散ってしまうような気がする。

 怒りにも似た感情がふつふつと込み上げてきて。

「じゃあ……」

 結衣は、真っ直ぐに洸貴を睨みつけるように見た。

「毎日、結衣が作ったら、食べてくれる? それだったら、面倒くさくないよね?」

「マズかったら、食べないからな」

 そんなことを言われて、目尻に薄っすらと涙が浮かんでくる。
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