AKANE
「ルイ、待って? このままだと、倒れたマストがクリストフさんを直撃してしまうかもしれない!」
朱音の気持ちは百も承知していたが、ルイには我主を危機から救い出す為にはこの言葉は聞こえない振りをするしかなかった。
『ミシ・・・ミシミシ・・・』
マストがゆっくりと傾き始める。
傾いた先にはクリストフがまだ辛うじて手首に巻き付けた縄で船上に留まっていた。
「マストが倒れるぞー!!」
どこかで船乗りが叫んでいる。
「ルイ! クリストフさんが・・・! ルイ!」
悲痛な朱音の声を無視して、ルイは縄をナイフで完全に切り離した。
途端、マストはスピードをあげクリストフ目がけてぐしゃりと倒れこんでいった。
「うそっ! うそでしょ、クリストフさん・・・!」
真っ青な顔で朱音はマストが倒れていく瞬間を見つめ続けた。
巨大な折れたマストの下敷きになっていたとしたら、クリストフは無事である筈がない。
折れたマストは、次に訪れた波に攫われ、黒い海へと流されていく。
「彼はきっと大丈夫です。陛下も知っているでしょ? 彼は風を操れるんですから。陛下、彼が言ったように、船内へ戻りましょう」
ルイはわざと冷静を装い、パニックを起こしかけている朱音の腕を引いた。
命綱を失った自分達も、決していい状況とは言い難いことをよく理解していたからだ。
「ルイ、あれを見て!」
朱音が指さした先は流されゆくマストの残骸だった。しかし、その中に僅かだが人のようなものが上半身を乗り出すような形でしがみついているのが確認できた。
「クリストフさん! 」
二人が気をとられている間に、船に大きな波が襲い掛かった。
「!!!」
命綱をなくした二人はあっという間に海水に飲まれ、気付いたときには船から投げ出されていた。
ルイとは逸れてしまった。酸素を得ようと必死に水面に上がろうとするも、次々と荒れた波が朱音に圧し掛かり、嫌という程塩辛い水を飲んでしまう。
焦ってもがくけれど、余計に体力を消耗するだけで、朱音の意識は次第に薄れていった。
朱音の気持ちは百も承知していたが、ルイには我主を危機から救い出す為にはこの言葉は聞こえない振りをするしかなかった。
『ミシ・・・ミシミシ・・・』
マストがゆっくりと傾き始める。
傾いた先にはクリストフがまだ辛うじて手首に巻き付けた縄で船上に留まっていた。
「マストが倒れるぞー!!」
どこかで船乗りが叫んでいる。
「ルイ! クリストフさんが・・・! ルイ!」
悲痛な朱音の声を無視して、ルイは縄をナイフで完全に切り離した。
途端、マストはスピードをあげクリストフ目がけてぐしゃりと倒れこんでいった。
「うそっ! うそでしょ、クリストフさん・・・!」
真っ青な顔で朱音はマストが倒れていく瞬間を見つめ続けた。
巨大な折れたマストの下敷きになっていたとしたら、クリストフは無事である筈がない。
折れたマストは、次に訪れた波に攫われ、黒い海へと流されていく。
「彼はきっと大丈夫です。陛下も知っているでしょ? 彼は風を操れるんですから。陛下、彼が言ったように、船内へ戻りましょう」
ルイはわざと冷静を装い、パニックを起こしかけている朱音の腕を引いた。
命綱を失った自分達も、決していい状況とは言い難いことをよく理解していたからだ。
「ルイ、あれを見て!」
朱音が指さした先は流されゆくマストの残骸だった。しかし、その中に僅かだが人のようなものが上半身を乗り出すような形でしがみついているのが確認できた。
「クリストフさん! 」
二人が気をとられている間に、船に大きな波が襲い掛かった。
「!!!」
命綱をなくした二人はあっという間に海水に飲まれ、気付いたときには船から投げ出されていた。
ルイとは逸れてしまった。酸素を得ようと必死に水面に上がろうとするも、次々と荒れた波が朱音に圧し掛かり、嫌という程塩辛い水を飲んでしまう。
焦ってもがくけれど、余計に体力を消耗するだけで、朱音の意識は次第に薄れていった。