AKANE
リガルトナッツの入った袋からいくつかナッツを取り出すと、クリストフは白鳩にそれを食べさせてやる。美味しそうに平らげたクイックルは、ぴょんとクリストフの手から窓枠へと飛び降りると、一度だけクリストフを振り返り、さっと闇夜の空へと飛び去った。
 だんだん小さくなる真っ白いクイックルの姿を見つめながら、クリストフは心の中でこう呟いた。
(でも、気をつけて下さい。君のように珍しい羽色の鳩は、リストアーニャではどこへ売り飛ばされるかわかりませんからね・・・)
 
 リストアーニャの夜は更けていく。
 商売の国として栄える反面、暗い一面を残して。





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