AKANE
「まさかとは思ったが、こんなに早く王都まで戻って来れたとはな・・・」
 それよりも、今は思っていた以上に早く帰還できたことにフェルデンは興奮していた。
「それじゃあ、“ラ・レイシアス”って・・・?」
 既に気が逸っているフェルデンはその質問の意図に全く気付くことなく、単純に答えた。

「レイシアスの別の意味は、“愛する人”。ラは、“たった一人の”を意味する。クロウ、そんなこと聞いてどうするつもりだ?」
 朱音は、驚きと、心に受けたあまりの衝撃で、放心してしまっていた。
 まさか、あの時、フェルデンも朱音と同じ気持ちでいてくれていたなどと、夢にも思わなかったのである。






< 386 / 584 >

この作品をシェア

pagetop