AKANE
「あいつら、互いを食い合うことで分裂し、仲間を増やしているようですよ」
ゾッとする話に、ディートハルトがやれやれと溜息を溢した。
「剣が効かないとなると、この火薬弾だけど、元々そんな手持ちは無いからな・・・。拙いな」
ユリウスがぽりぽりと鼻頭を掻いて考え込む。
「・・・俺にいい考えがある」
フェルデンがそう言ったとき、いつの間にか結界のすぐ側まで来ていた魔王の側近のそのどこまでも碧く感情の読めない目と合い、ユリウスは思わず押し黙った。クロウを見捨ててルシファーの元へと戻った男。予想以上にこれからの苦戦が強いられるに違いないとフェルデンはぐっと凛々しげに表情を引き締め、覚悟を決めたのだった。
クロウは感じていた。自分のまだ未熟な力で、父の魔力には到底敵わないということを・・・。
けれど、ここで全てを諦める訳にはいかないことも分かっていた。
父の姿をした何者かが目の前で強大な魔力を弄ぶかのように振るう。
彼を倒すには、まだクロウの力は未成熟だ。力にしろ、技量にしろ、何一つ天上人であった彼に勝るものは今のところ見つからない。
けれど、唯一の勝機があった。クロウはその為になんとしても時間稼ぎをしなければならないのだ。
「けほっ」
肺を傷つけたのか、夥しい血を何度も吐き出しながら、クロウはソードを構え、何度もルシファーに踏み込む。その度に返り討ちに遭い、見るからにクロウはぼろぼろの姿であった。一方ルシファーはいまだ麗しい姿のままである。
ゾッとする話に、ディートハルトがやれやれと溜息を溢した。
「剣が効かないとなると、この火薬弾だけど、元々そんな手持ちは無いからな・・・。拙いな」
ユリウスがぽりぽりと鼻頭を掻いて考え込む。
「・・・俺にいい考えがある」
フェルデンがそう言ったとき、いつの間にか結界のすぐ側まで来ていた魔王の側近のそのどこまでも碧く感情の読めない目と合い、ユリウスは思わず押し黙った。クロウを見捨ててルシファーの元へと戻った男。予想以上にこれからの苦戦が強いられるに違いないとフェルデンはぐっと凛々しげに表情を引き締め、覚悟を決めたのだった。
クロウは感じていた。自分のまだ未熟な力で、父の魔力には到底敵わないということを・・・。
けれど、ここで全てを諦める訳にはいかないことも分かっていた。
父の姿をした何者かが目の前で強大な魔力を弄ぶかのように振るう。
彼を倒すには、まだクロウの力は未成熟だ。力にしろ、技量にしろ、何一つ天上人であった彼に勝るものは今のところ見つからない。
けれど、唯一の勝機があった。クロウはその為になんとしても時間稼ぎをしなければならないのだ。
「けほっ」
肺を傷つけたのか、夥しい血を何度も吐き出しながら、クロウはソードを構え、何度もルシファーに踏み込む。その度に返り討ちに遭い、見るからにクロウはぼろぼろの姿であった。一方ルシファーはいまだ麗しい姿のままである。