AKANE
「フェルデン、演説とてもよかったよ」
「ありがとう。クロウ、今回はわざわざ我国の式典に参加してくれたこと、感謝するよ」
 くすりとクロウは笑った。
「いいや、“貴国を訪問する”って言い出したのは僕の方だ。こっちこそ、ぼ僕を招待してくれたこと、感謝しているよ」
 これからは、もっと二国間が親睦を深め、人種に関係なく人々が国を行き来する時代が訪れるだろう。
「それにしても、あの書状、本当に君が書いたのか? クロウ」
 以前ファウストの手によりフェルデンに届けられた書状の文体ときたら、あまりに固いものだった為、フェルデンは多少の違和感を覚えていたのだ。
「ああ、ばれたか・・・。アザエルに書かせたんだけど・・・」
 そう聞いた途端、フェルデンはなるほどと思わず笑いを溢してしまっていた。
「ところで、フェルデン。僕はちょっとしなければならないことがあって、先に城へ戻らせてもらいたいんだけれど・・・」
 クロウの申し出に、フェルデンは首を傾げた。
「どんな用だ? 部下に言って手伝わせようか?」
 クロウはふるふると首を横に振った。この後、フェルデンは王都をパレードであと半周してから白亜城へと戻る予定だったのだ。
「否、さすがに君の部下にアザエル宛の書状を書いてもらう訳にはいかないよ。報告も兼ねてるしね。それに、彼が怒ると怖い・・・」
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