3 year 君と過ごした最後三年 (version.mystery and suspense)
門扉を開け、三段だけの急な階段を一気に駆け上がった。
家へと入り、二階の自分の部屋に駆け上がった。
恥ずかしいような嬉しいような、そんな顔を見られるのが気恥ずかしくてたまらなかった。
ドアを閉め、そこにもたれかかりバレッタをそっと手の上に移した、触れてみる。
少しだけなにかが温かくなったように感じる。
ありがとう……。気づかず、そうつぶやいた。
空には月が、うかんでいた。夜空にうるおうように佇み、月がうかんでいた。
彼にカバンを預けたままだと知ったのはその数分後のことだった。
わたしは慌てて階段を降り外にでた。玄関の横にもたれるように、それは置かれていた。
「やっちゃった」
そういいカバンを取り、家へともどった。
こんな日一生続けば……。
その過ちがすべてだとも気づかず、わたしはそっとわらった。
時がまたひとつ消えていった。