BRACK ANGEL~彼とあたしの秘密の関係~
「あいあかわらずこの格好でがんばってるわね。」
動き出したワゴン車の中でほどいた三つ編みの癖をヘアオイルとアイロンで取ってくれているナナさん。
「はい。…社長の命令ですから。」
「まぁ、仕方ないわよね。」
社長という単語が重い雰囲気を出す。
「あ、でも以前よりは緩和されてきてるんですよ。」
「え?」
「以前は白い靴下じゃないとだめだったんですけど、今は紺や黒でもいいんですよ。」
メガネっていってもダテだけど、それをはずしながらナナさんに言った。
「…うっ…なんか、ほんと健気ね、杏ちゃん。」
口元を押さえながら泣きまねをするナナさん。
「ほんとに惨めに思えてくるんでヤメテクダサイ。」
「あら、ごめんなさい。」