マザーレスチルドレン
父親の自殺の知らせを聞いて、ヒトミ達家族は病院に駆けつけた。


霊安室のベッドに横たわる夫の変わり果てた姿


を見るとヒトミの母親は取り乱し半狂乱になった。


その日からヒトミの悪夢のような日々が始まった。


家に戻ると母親は台所から包丁を持ち出し、


何度も自分の喉を切り付けようとした。


ヒトミは必死で止めた。


「お母さんまで死んじゃったら、私たちどうすればいいの!」


母親はしばらく泣き叫ぶと、やがて疲れ果てて眠ってしまった。


母親の寝顔を見ながら、まだ高校生のヒトミはこれから先


どうやって生きていけばいいのか途方にくれてしまった。


でも弟のユキオはまだ中学生。
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