マザーレスチルドレン

クラッシュ!

ヒトミの車はセンターラインを大きく


オーバーしながら走っている。 


この時間まず対向車とすれ違う事はない


事だけが救いだった。


───臓器売買なんて、なんでそんな恐ろしいことに…… 


はやく…… 急がないと取り返しのつかない事になってしまう。


ヒトミはこれ以上ユキオに罪を犯して欲しくなかった。


判決が下った夜、ヒトミの父親は自殺した。


拘置所の単独房でシーツを裂いて窓の鉄格子にかけ


首を吊っているのを巡回中の職員が発見した。


父親はすぐに病院に搬送されたが、翌朝には死亡が確認された。


遺書らしきものは何も残されていなかった。
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