マザーレスチルドレン
Chapter 05

雪の日の惨劇

ケンイチは母親を殺害して家を出たあとしばらくあたりをうろついた。


何処にも行くあてはなかったし戻る家もなかった。 


雪は一向にやむ気配がなく、寝巻き代わりのトレーナーシャツ一枚の


ケンイチは今にも凍えそうだった。


数時間が経って気がつくと結局自分の通う小学校の正門の前に立っていた。


冬休みの校庭には雪が降り積もってグラウンドは一面の銀世界であった。


眩しいほど真っ白な風景の中での数人の子供たちが、雪合戦に興じていた。


ケンイチのクラスメート達だった。
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