マザーレスチルドレン
保健室から出されて数週間が過ぎた、ケンイチは相変わらず誰とも喋らない日々が続いていた。


あれからアライはケンイチに絡んでくることはなかった。


ケンイチにとって穏やかな日々だった。


その日、昼食後の自由時間、窓の外の景色を一人ぼんやりと眺めているケンイチ。


その背後から少女が話しかけてきた。


「何みてんの?」


ケンイチは窓の外を見つめたまま振り向きもしない。


背中では平静を装っていたが内心は動揺していた。


通っていた小学校では、ケンイチに話しかけてくる子供なんて誰もいなかったからだ。
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