マザーレスチルドレン

隔離地区

「ところでどう、お袋さん見つかりそう?」


「うん…… なかなか難しいよ。手掛かりが無いから」


「そうねえ、別れてからずいぶん経ってるから……顔だって変わってるだろうしね。ハルだってもう子供の頃とは全然違ってるだろうからね」


「うん、そだね。もうだんだん記憶が曖昧になってきてるんだ……」


「やっぱり、まだ隔離地区にいると思う?」


「うん、昔あっち側に住んでたからね」


「そか、あそこじゃあ、俺達は自由に行き来はできないからね」


「もう死んでいるかもね、もし生きていたとしてもはそんなに長くはないだろうし」


「そんなことないよ! 絶対どっかで生きてるって、きっとお袋さんもハルに会いたがってるよ」


「だといいけど」


「……でもさあ、なんでお袋さん、ハル残していなくなっちゃったんだろうな?」


「……」


ハルトは無言で目を伏せる。


「ごめん、ハル」


「いや、いいよ」


「あの頃はまだ革命の後のどさくさで大変だったもんな、きっとハルのお袋さんもいろいろな事情があって、ハルを安全な児童施設に預けたんだろうな」


「うん…… 」
< 21 / 178 >

この作品をシェア

pagetop