マザーレスチルドレン

廃棄物処理場

「君はなぜここに来た?」


ベッドに横たわったままの老人がハルトに問いかけた。


老人と言っても見た目はそんなに年老いた感じはしない、


ただ異様に痩せて肌は荒れてカサカサだが眼光だけは鋭い男だ。


「他にすることもないから」


ハルトはそう答えた。


「今は大変な時代だからね。


でも多くの若者は政府の


生活支援プログラムで遊んで


暮らしてるじゃないか」


「別にそれでもいいんですけどね。


ただ人を探してるんです。


もしかしたらここで会えるかもしれないから」


───確かに人間のする仕事じゃないよ。


とハルトは思った。


老人介護センターの仕事は過酷だった。


寝たきりの老人達の食事と排泄の世話。


一日平均十五時間労働。


支払われる給料は政府の失業者対策の


支援金とさほどの変わりははなかった。







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