マザーレスチルドレン
ケンイチは無性に腹がたった。


今度は一欠片のクッキーを水槽に落としてみた。


金魚はするりとそれを避けた。


ケンイチは金魚に殺意を覚えた。


ケンイチは水槽の中に手を突っ込むと金魚をつまみ出した。


彼の右手の中で金魚はピクピクと蠢いた。


ケンイチは思いきり右手を握りしめた。


体中に電気が走ったような感じがした。


頭がしびれて足の感覚がなかった。


頭のしびれはだんだんと快感に変化していった。


ケンイチは初めて射精をした。


こわごわ握り締めていた手を開くと金魚は無残に潰れていた。


ケンイチは金魚の死体をトイレに流すと、


いつも寝ている奥の部屋の布団の中に潜り込んだ。


体の感覚はまだおかしかったが頭はすっきりしていた。


金魚を殺してしまったことを母親に知られたら


間違いなく殺されるだろうとケンイチは確信した。
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