マザーレスチルドレン

初雪が積もった街

明け方近くになって母親は男と一緒に帰ってきた。


泥酔状態の母親を残して男はすぐに出て行った。


寝たフリをしていたケンイチは起きだしてきてリビングルームで酔いつぶれている母親を見下ろしていた。


ケンイチは用意していた電気コードを母親の首に入念に三回巻きつけた。


それでも母親はだらしなく横たわったままだった。


ケンイチは床に尻をつけると電気コードの両端をしっかり握りしめた。


そのままの姿勢で両足を母親の肩に乗せて固定した。


足を踏ん張ると同時にコードの両端を渾身の力で引き上げた。
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