マザーレスチルドレン

母さん行かないで!

───母さん……。


母さんが去っていく、


僕を残して行かないで。


一人になりたくない。


「行かないで! もうどこにも行かないで」


叫んだ。声を限りに。


泣き声になった。


母さんは振り向くことはない。


ゆっくり歩いて、でも一歩一歩、確実に僕から離れていく。


追いかけようとした、立ち上がって、


さあ、早く。でも体が動かない。


「待って! お願いだから───、一人にしないで」


気がつくと右手に何か握ってた。ナイフだった。


刃先が鋭く、そして鈍く光っていた。
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