教えて!恋愛の女神様
『わかった、すぐ行く。電話は切らないで。何か助けになるかもしれない』
「はい!」
言われたまま通話を切らずに裕矢を待った。耳にあてたままいると、裕矢が職場の人に必死にお願いして仕事を抜けて来る事が伝わってきた。
(『今、お昼休み取っていいですか?』って。私を助けるために使ったら、もう今日は休めないのに、お昼ご飯食べられないかもしれないのに……それでもいいの?)
彼の優しさと愛が胸の中に広がり、ジンワリと暖かい気持ちになった。少しくらいハプニングが起きても、ちゃんと待っていられる気がした。
 集中していたせいか、一瞬周りが静かになった気がした。鉄平はあきらめて帰ったかと思った。
 とたん、グアンッ!とすごい音を立ててドアが揺れた。あまりにも激しい振動のため、バリケードとして置いた一番上の椅子が落ち、机がグラグラと揺れた。
(何?何が起こったの?)
ガンッ、ガンッ、ガンッ!と音が鳴り、ドアは揺れ続けた。先ほどとはあきらかに様子が違った。
(さっきは手でドアをノックしていたみたいだけど、今は物で殴りつけているみたい。だとしたら、ドアを壊されるかもしれない。中へ入って来ちゃうかもしれない!裕矢さんが来るまで持つかな?)
不安が募る。裕矢のいる図書館から私のいる三号館はそれほど距離はないが、一人で耐えているだけに悪い方へ考えずにいられなかった。
『知佳ちゃん、凄い音が聞こえるけど、近くで工事でもしているの?』
ふいに、携帯電話から裕矢の声が聞こえホッとした。
「い、いいえ。たぶん鉄平がドアを破ろうとして物で殴っているんだと思います」
『ドアを?それは大変だ。できるだけ早く行くから』
「はい」
うなずいて間もなく、バキッ!と音をたてドアノブが下に落ちた。
(ウソッ!)
グアンッ!と再びすごい音がすれば、ドアが振動し、バリケードとして置いていた机と椅子が床に転げ落ち、私の目の前で止まった。
 邪魔者が無くなったドアは悠然と開き、黒いジャケットとジーンズを身にまとった、スレンダーな姿が現れた。彼の手には、足が変形したパイプ椅子が握られていた。
「知佳……やっと会えたね」







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