井上真緒編

真緒「あなた、結婚のことも知ってるんだ。いつからそこにいたのよ」
チアキ「神々は、いつでも必要なときに現れるのよ。あなた達が知る必要はないわ」
真緒「私とりつかれていたんだ。こんなのに。これじゃ、幸せになれないはずだ」
チアキ「そんなことない。あなたは幸せになれるわ。私のいうことを聞いていればね」
真緒「嘘いわないでよ。逆でしょ。あなたがいなければ、私は幸せになれるんだ。やっぱり引っ越ししよう」
チアキ「だからどこに」
真緒「もっと、明るくて、からっとしたところに引っ越す。あなた、暗くて、じめじめしたところにしかいられない地縛霊みたいだから」
チアキ「どこでもいいわよ。私はあなたについていくだけだから」
真緒「目的は何よ」
チアキ「目的。神々の目的といったら、あなた達の幸せじゃない」
真緒「私を幸せにする。そうなってないじゃん」
チアキ「全部、人の責任にするの」
真緒「ふ~ん。そういう話」
チアキ「なに。神々を怒らせたいの」
真緒「怒りたいのはこっちだよ。饒舌な地縛霊が」
チアキ「あなたのような人間は、幸せにはできないわね。神々は許さないわ」
真緒「で、あんたは何で、そんな殻に閉じこもっているの。そこからは出られないの」
チアキ「私は、いつでも自由よ。あなたが見ている姿は私であって、私じゃないの」
真緒「何か分からないけど、本当は恥ずかしいんでしょ。そんな格好してて」
チアキ「何てことをいうの。それ以上は言わないことね。神々は誰にでも優しいけれど、それでも限界はあるのよ」
真緒「参ったな、こんな疫病神にとりつかれて」

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