井上真緒編
仲間「どうだ。見積もりは出したか」
真緒「もちろん、やりましたよ」
仲間「そうか。おお、これは珍しいな。こんなにしっかりやるなんて、これは田中の仕事だな」
田中「まあ、別に、僕は計算を出しただけです」
仲間「いや、それが立派なんだよ。こんな面倒な計算よくここまできっちりやれるよ。この価格は、どうやってだしたんだ」
真緒「会社で調べました。一応、周りとも比較して出したつもりですけど」
仲間「そうか。でも、自分の目で、みないとな。今日は、自分でみてこいよ」
真緒「え、見てくる」
仲間「あの辺の物件を見て来て、見当つけるんだよ」
真緒「それでわかりますか」
仲間「ああ、だいたいな。そういうのは田中が向いてるかもしれないな。しっかりやってこいよ」

そういわれて、とりあえずは、向こうと価格の交渉をしたが、多少の開きがあった。もちろん、この間相手の言い値を聞いていたので、こちらは分かっていたが、向こうはもう少し何とかならないかという話をしてきた。それなのでもう一度、見当はするといった。その交渉が終わって、真緒と田中は、駅前の不動産屋で、いくつかの物件の見出しを見て、だいたい自分たちが、考えてたのと同じぐらいだと思った。

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