【短】「好きだよ」~伝えないと決めた想い~Another side
出会い


卒業式。


校内はいつもよりにぎやかで。





職員室にはたくさんの教師と生徒が、笑ったり泣いたりしている。








そんな中、3年生の担当じゃなかった俺は来年へ向けて書類の整理をしていた。





今日卒業した3年生は、少しだけ教科担当を持ったことがあったけれど、それ以外で俺のことを知っている生徒は少ない。





受け持っていた部員たちは、今からパーティーだとかで挨拶もそこそこに帰っていった。









正直、今日は部活もないし、もう帰っても大丈夫なのだが。





書類の整理なんて春休みのうちに終わる仕事だが、俺はなかなか帰れずにいる。






さっきからずっとケータイを眺めてはメール作成画面を開くが、そこから先に進めない。






「うーん、やっぱりやめとくか…」




1通、メールを送ろうとしたが思いとどまる。




俺がそれをすることによって、今前に進もうとしてるあいつの足を引っ張ることになると思うから。






ふぅ、とひとつため息をついたその時。






「せーんせっ!」





正に今メールを送るのを諦めた相手が俺のことを呼んだ。



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