ひとつの恋に出逢った。
「…志緒くん!?」
「降りてこーい!」
「命令すんじゃなーい!」
そう言いながらも、下に降りていき、玄関を開ける。
目の前には黄色のラインのジャージのズボンに黒のシャツを着た志緒くんがいた。
志緒くんは弟みたいな存在。
いくら静佳が友達でも
志緒くんを利用されたくない。
「なんで来たの?」
「姉やんに会いたかったのよ。にししっ」
「本題。なんでまた静佳とより戻したの?前、散々に遊ばれたって…」
志緒くんは少し口角をあげて
つぶやくようにいった。
「…別に?」
「別にじゃないよ…利用…されてたら…私の方が悲しい…よ」
「俺は別にどーでもいい」
「なんでわかってくんないの?!静佳は前から…っもういいっ!!」
「知ってる。分かってるよ。静佳チャンが俺を利用していることなんか」
なんで…?知ってるなら、なんでわざわざ傷つきたがるの…?
「わかってねーのはそっちじゃねーのか?」
いきなり口調が変わって冷たい表情になった志緒くんが近づいてきた。
なんか…怖い…。
「なっなにが」
「俺のこと、全然わかってねぇじゃん」
「は…はぁ?分かってるもん!志緒くんはバカで、たらしで、でくのぼうで、頭が悪い!」
私は志緒くんのことすべて言ったけど、全部悪口な気もした。
「…俺は春賀チャンのこと、知ってるよ?チビだろ、頭は悪かねーだろ、顔はフツーにかわいい、人の恋愛は得意なくせに、自分のことは全然わかってない」
…自分のこともわかってないって言われたのはすごくムカついて、言い返した。
「私は分かってるもん!ブスで、髪型マッシュルームで、バカで、デブで、人の恋路に首突っ込むのが得意で、で…」
「ケンキョ」
自分のこといってたら涙出てきた…。
「よくそんな難しい言葉、覚えたね〜」
笑って流した。
すると、志緒くんの顔が真面目になった。