天使の強がり【短編】
私は律にいっぱい勉強教わっていたのに、ありがとうなんて言えたことなくって。


いつも強がってしまった。


それを必死で伝えようとしたけれど、「亜紀、泣いてるから何て言ってるか全然分かんないんだけど」って笑いながら言われてしまった。




しばらくして泣き止んだ私の顔を見て、「落ち着いた?」と言いながら律は笑った。


絶対私、今他人に晒せないような顔をしてるんだ…


そう思って、無邪気に笑う律に対して小声で「ばか」と言ってやった。


久しぶりに二人になってやっと分かったことがある。


律も、この前のことを気にかけていてくれたんだと。


ごめんなさい、と本当に思った。


自分のことばっかり考えていて。


律は、その後、私を家に連れて帰り、そして「おばさん、あがりまーす」と玄関でにこやかな声を出して、私を二階にまで連れて行った。
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