天使の強がり【短編】
「あーき」


ベッドに座った後、そう呼ばれて、隣に座った律の方を向く。


そしたらまた律は、私のことをぎゅうっと抱きしめてきた。


外の空気で冷え切った体温が、どんどん上昇していくのが分かる。


さっきは泣いていて抱きしめられても聞こえなかった律の鼓動も、伝わってきた。


大好きな人に抱きしめられて、すごく幸せだと思った。


「さっき、何て言おうとしてたの?」

「…ごめんね。私強がっちゃって、律に対してひどいこと言った。律がいたから、嫌な勉強も出来てたんだなって。律のおかげなのにっ」

「だから言ったでしょ?お前には無理なんだって。素直に俺に頼っとけばいーの」

また泣きそうになる私をいっそう強く抱きしめて律は何とも満足げに言って、頭をポンッと撫でてくれた。


「り、律…ごめんね、いっつも、いっつも。ありがとう。こんな馬鹿のために勉強教えてくれて」


ちゃんと、伝える。


素直に、気持ちを伝えることが一歩だと思ったよ。
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