天使の強がり【短編】
「はは、亜紀が馬鹿なのは今に始まったことじゃないしー」


「律…っ」


私がちょっと強めに言うと、全然怖くないですよーみたいな顔をした。


「ってゆーか、そもそも好きとかじゃないと勉強なんて教えないでしょ。わざわざ面倒臭いことしない」


その言葉は余りにもさらっと言われて、胸がキュっと躍った。


目が合うと、律は笑った。


あぁ、これは必殺・天使の微笑み…!


そう思ったけど、あの技よりももっと優しくて。温かい笑い方だと思った。


そして、私にチュっと優しいキスをしてきて、右手を絡ませてきた。


「亜紀の手、冷たい」


「…手が冷たい子の心は温かいってゆーでしょ!ま、手があったかい人は心が冷たいって言うよね」


「何、それって俺に喧嘩売ってんの」


というのも、律の手は、さっきまで本当に外にいたのかよ…と思うほど熱くなっていたからだ。


「はは、まぁねー」

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