BOND
二人でフルコースを食べる。



「ねぇ、あの子とは?」


「…別れた。」





いや、別れてはいないけど、夏音にはこう言った方がいい。



「さすが!やっぱり私のこと好きなのね、勇人。」



「…。」




俺らは嫌いになって別れたわけではない。






夏音が快の兄貴と結婚が決まったから。





「私、秀(しゅう)とは合わないのよねぇ。」





秀ってのは快の兄貴。






「あ、そうだ!勇人、今夜一緒にいてくれるでしょ?」


「…。」


「部屋取ってあるの。すごく夜景がキレイなんだから。」






夏音は変わったな。





昔はもっと優しい笑顔だった。







いや、俺が変わったのかもしれない。






明に出会って、恋をして、付き合って。






明にいろんな感情を教わった。





明は“自分”を隠さず俺に出してくれる。






でも、ここにいる夏音は、“作り物”だ。

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